ネガポジ
最寄駅、といっても本当に近いかどうかは別の話で、ボクの家は最寄り駅からバスで20分・自転車でも20分という、微妙な所にある。
しかも土曜日は最終のバスが22:30くらいで終わってしまうので、不意の飲み会などで帰りが遅くなった時に自転車が無いと、駅からはタクシー、もしくは徒歩になる。
普段は自転車で行くように心がけてはいるのだが、先日その不意の飲み会があり、やはり最終バスを逃がしてしまった。
そんな時、ボクはいつもタクシーを使わず、徒歩で帰ることにしている。
寒さが増したこれからの時期、駅から歩いて帰るのにはうってつけだ。
寒さは感覚を鋭くしてくれる。むきだしの頬がヒリヒリと痛むのも心地よい。
歩き出してすぐ、ボクの横を足早に女の子が抜き去って行った。彼女も終バスを逃がしたのだろうか。
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もう自覚していることではあるが、ボクは歩くのが遅い。
でも、歩くのが好きだ。
数歩歩いては前を見上げ、数十歩歩いては後ろを振り返る。
後ろにも前にも人を置かず、自分のペースでゆっくり、のんびり。
どこまでも、いつまでも歩いていけそうな気分になる。
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先日、尊敬する人に『学校なんかに行っても作家にはなれない。先生を紹介してやるから、弟子になりなさい。』と言われた。
しかしそれは飲みの席での話。本当に紹介してもらえるかどうかは、その時になってみなければわからない。事実、それ以降、まだ話をする機会も無いままだ。
年の離れた友人がボクに言う。『もっと押した方がいい。自分からアピールしなきゃ。』
もっともな話だ。ボクは積極性に大きく欠ける。
でも、積極的な自分は自分らしくないような気もして不安になる。
ガツガツしている自分は醜い。そして歯止めが利かない。
次第に周りもそれに気づき始め、ふと気がつけば、また1人になっている。
ボクの人生、そんなことの繰り返しだった。
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話がきたら、大変に光栄な話だ。
何を差し置いても、紹介された方が誰であっても、そうするだろう。
話がこなくても、大変に光栄な話だ。
ボクの事を気づかってくれたその気持ちが、ボクの背中を強く押してくれている。
どちらにしても、ボクは歩くのを止めようとは思わない。
それならば、自分らしく、自分のペースで。
駅からの帰り道のようにゴールは無いけれども、どこまでも、いつまでも歩いていけそうな気がする。
密かに懐に抱えた想いは、いつか気づいてもらえるその時まで、温めておこう。
